就労ビザ取得時の審査のポイント

外国人が日本で働くためには原則として就労ビザ(在留資格)が必要です。
就労ビザ(在留資格)を持っていない外国人を雇う際には、原則として就労ビザ(在留資格)を取得いただく必要があります。
しかし、就労ビザ(在留資格)の審査は厳格に行われます。

今回は就労ビザ(在留資格)の審査のポイントについてみていきましょう。

※本来「ビザ(査証)」と「在留資格」は異なるものですが、一般的に使用される意味にあわせてこの記事では「就労できる在留資格」のことを「就労ビザ(在留資格)」と表記します。

目次

重要な審査の3要素

日本でビザ(在留資格)を取得するためには次の3要素は必ず審査されます。

在留資格該当性

日本企業で行う予定の業務が、申請する在留資格の活動内容に該当すること。
例えば、日本企業のマーケティング部門で働く予定の場合は「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当しうることをいいます。

上陸許可基準適合性

在留資格ごとに定められている学歴や経験年数などの要件を満たしていてそれを証明できること。
例えば、日本企業のマーケティング部門で働く予定で、4年制大学の商学部を卒業していれば、「技術・人文知識・国際業務」で定められている学歴要件を満たしうることをいいます。

相当性

日本にとって外国人本人が国内に滞在することが適当だと判断できる理由があること。
主にこれまでの在留態度に問題がないか(日本の法律を守っているか)が審査の対象になります。
例えば、軽微であっても交通違反を繰り返していたり、税金を滞納していたりすると相当性がない、と判断される可能性があります。
また、これまでの在留態度をみるものなので、主に「在留期間更新許可申請」「在留資格変更許可申請」の際に審査の対象になります。

審査でチェックされるポイント

3要素(在留資格該当性・上陸許可基準適合性・相当性)以外にもポイントになるところがあります。
また、本人だけではなく、雇用企業も審査の対象になります。

きちんと納税しているか

きちんと納税しているかというのは「適正な時期に納税しているか」という意味も含んでいます。
最終的に納税したとしても、滞納の過去があれば審査に響く可能性があります。

国民健康保険・国民年金の滞納がないか

国民健康保険・国民年金も税金と同じく審査対象になります。
なお、転職に伴い在留資格を変更する場合、転職前の企業で社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の滞納があった場合は、本人に責任はなく、企業側の問題なので審査においては影響しないと考えられます。

信憑性があるか

提出された書類に虚偽や偽造がないかも確認されます。
また、虚偽申請が多い傾向にある国籍や業種、在留資格の場合は審査においても関心度が高くなります。

雇用企業に適正性があるか

法令を守った経営体制であるかを確認されます。
例えば、営業に必要な許認可を取得しているか、法令に沿って労働保険や社会保険に加入しているか、労働基準法をはじめ労働法規を遵守しているかなどが該当します。

雇用企業に安定性があるか

事業が安定しているかを確認されます。
例えば、財政状況や、従業員の人数、取引先の規模や件数が該当します。
なお、安定性ついては総合的に判断されます。
赤字であったとしても、赤字であることのみをもって不許可になる可能性は高くなく、創業年数やきちんと資金調達できているかなどもみられます。

雇用企業に継続性があるか

企業が今後も継続していける見込みがあるかを確認されます。
例えば、財政状況や企業のサービスが今後も求められ続けうるものであるかが該当します。

適正な労働条件であるか

雇用企業と締結する労働条件が適正であるかも確認されます。
労働基準法をはじめとした労働法規を遵守した労働条件であること、同じ業務内容の日本人労働者と同等以上の労働条件であることが求められます。
また、労働条件とは必ずしも賃金だけとは限りません。福利厚生や休日などの条件も該当します。

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就労ビザ(在留資格)取得の審査には、3要素(在留資格該当性・上陸許可基準適合性・相当性)をはじめいくつかのポイントがあります。
そのため、ポイントをおさえながら申請準備を進めることが大事です。
また、いち早く外国人労働者にご活躍いただくためには申請を迅速に行うことも重要です。
迷った際はぜひ専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

板羽愛由実のアバター 板羽愛由実 行政書士・社労士・産業カウンセラー

・東京都杉並区生まれ神奈川県川崎市育ち
・行政書士 兼 社労士 兼 産業カウンセラー

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