
就労ビザ申請が不許可になる主な理由5つと対策

外国人が日本で働くためには、適切な就労ビザ(在留資格)を取得することが必要不可欠です。
しかし、申請が不許可になるケースも少なくありません。
本記事では、就労ビザ申請が不許可になる主な理由5つとその対策について解説します。

【就労ビザが不許可になるケース1】資格や学歴がビザ取得要件を満たしていない
就労ビザ(在留資格)ごとに学歴や職務経験などの要件があります。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」では、関連分野の大学卒業資格(または日本国内の専門学校卒資格)か10年以上の職務経験が求められます。
必要な学歴や職務経験を満たしていないとみなされると不許可になる可能性が高くなります。
≪例≫営業職の申請者が関連する学歴や職歴を証明できていないとみなされる
【対策】必要要件を事前に確認する
申請する就労ビザの要件に目を通し、学歴や職歴が要件を満たしているかを確認しましょう。
- 出入国在留管理庁のホームページを確認する
- 申請書類上で職務経歴が正確に記載されているか確認する
- 行政書士や弁護士に相談する
【就労ビザが不許可になるケース2】提出書類に不備がある
申請時に必要な書類が不足していたり、不正確な情報が含まれていたりする場合、不許可になる可能性があります。
「不備があったり、疑義があったら問い合わせが来るだろうから大丈夫でしょ!」
と思う方もいらっしゃるようですが、問い合わせなく不許可になるケースもあります。
不備なく、正確に申請することが大切です。
≪例1≫書類に記載ミスや不整合がある
≪例2≫職務内容の記載が不明確で具体性に欠ける
≪例3≫出入国在留管理局が求める提出書類をすべて提出していない
【対策】正確な書類を用意する
提出する書類は、正確かつ最新のものを用意する必要があります。
不足や不備がないよう、申請書類を複数回チェックしましょう。
- 必要書類のリストを作成し、1つずつチェックする
- 書類を第三者に確認してもらう
- 行政書士や弁護士に依頼する
【就労ビザが不許可になるケース3】受け入れ企業の体制や実態に疑義がある
受け入れ企業が労働基準法をはじめ労働法令を遵守していなかったり、実態のない企業と判断された場合は不許可になる可能性があります。
≪例1≫雇用契約書に記載されている賃金額が最低賃金を下回っている
≪例2≫義務があるにも関わらず社会保険に加入していない
≪例3≫事業活動を示す証拠(取引契約書、売上報告書、銀行取引明細など)が不足している
【対策】受け入れ企業の体制を整える
企業側が不備を指摘されることを防ぐため、労働契約や財務状況など、企業の体制を整えておくことが大切です。
- 企業として労働基準法や関連法規を遵守する
- 労務管理について社会保険労務士のアドバイスを受ける
- 書類集めに悩んだら行政書士や弁護士に相談する
【就労ビザが不許可になるケース4】職務内容が在留資格に適していない
申請者の予定している職務内容が、希望する就労ビザ(在留資格)に適さないと思われる場合は不許可になる可能性が高くなります。
≪例1≫技術・人文知識・国際業務の申請をしたが、雇用契約の内容が単純作業であるとみなされた場合
≪例2≫日本料理店で技能ビザを申請したが、調理補助として皿の準備や掃除が主な業務とみなされた場合
【対策】在留資格に適した職務内容を確認する
申請するビザ(在留資格)に適合した職務内容であることを確認しましょう。
曖昧な職務内容や不適切な業務は不許可の原因になります。
- 出入国在留管理庁のホームページを確認してビザ(在留資格)ごとの職務内容要件を理解する
- 職務内容を専門性を示しながら具体的かつ明確に記載する
- 悩んだら行政書士や弁護士に相談する
【就労ビザが不許可になるケース5】過去に法令違反をしている
過去に法令違反をした場合は、不許可になる可能性があります。
≪例1≫過去に不法滞在をしていた
≪例2≫過去に不法就労をしていた
≪例3≫過去に税金を滞納していた

【対策】法令遵守を徹底する、これからは法令違反をしないと誓う
過去に法令違反が認められる場合は、今後同じ過ちを犯さないことを書面で説得力をもって伝えることが大切です。
本人だけではなく、企業も本人が法令違反を犯さぬようサポートしていく体制を整える旨と、本人を雇用したい具体的な理由を伝えられるのがベストです。
- 住民税は特別徴収に切り替え給与から天引きして会社が納付する
- 企業もビザ(在留資格)や在留期間の管理を責任をもって行う
- 就労ビザ申請に際し不安な場合は行政書士や弁護士に相談する
就労ビザが不許可になったらどうするの?
就労ビザが不許可になった場合、出入国在留管理局へ行けば理由を教えてもらえます。
理由を教えてもらった上で次のアクションを決めます。
1.再申請する
在留期間内であれば何度でも再申請が可能です。
しかし、一度不許可になっている以上その不許可の理由が解消されない限り許可が下りることはありません。
不許可になった理由が、
・書類の不備だった
・業務内容が正しく伝わっていなかった
・企業の信頼性等の部分が十分に伝わっていなかった
などすぐに解決できそうなものであれば再申請を行います。
2.一度帰国する
不許可になった理由が、在留態度が悪かったなど本人側の問題ですぐに解消するのが難しい場合は、一度帰国して在留資格認定証明書交付申請を行う方法があります。
在留資格認定証明書交付申請は相当性(在留態度など)は審査の対象にならないので、就労ビザを取得できる可能性があります。

3.資格外活動許可申請をする
不許可になった理由が、在留態度が悪かったなど本人側の問題ですぐに解消するのが難しい場合であり、帰国もしたくない場合は、資格外活動許可を得て週28時間以内で働く方法があります。
在留態度に気を付けつつ、しばらくはアルバイトとして働き、ある程度の期間を経てから就労ビザの再申請を行います。
その際は「これからは過去の過ちを繰り返さない」ことを書面で伝えます。
また、アルバイトの期間中に可能な限り企業も本人が法令違反を犯さぬようサポートしていく体制を整えることが大切です。
そして再申請の際に、サポート体制を整えている旨と、本人を正社員として雇用したい具体的な理由を伝えられるのがベストです。

就労ビザ取得に関する相談を受け付けています!
就労ビザ申請が不許可になる理由はさまざまですが、事前の準備や適切な対策を講じることでリスクを減らすことができます。特に、要件の確認や書類の整備、受け入れ企業の体制強化が重要です。
外国人雇用は人材不足の解消や社内のグローバル化への対応、社内に新しい風を吹かせることができるなどメリットがある一方、手続きの煩雑さや労務管理の面倒、文化や習慣の違いによるトラブルなどの懸念点も無視できないのではないでしょうか。
行政書士オフィスウィングでは、就労ビザの取得や期間更新から労務管理の相談まで外国人雇用について幅広く対応しております。併設しております社会保険労務士オフィスウィングでは社会保険の手続きや就業規則の作成・見直しも対応しておりますので、お気軽にご相談ください!
