就労ビザをスムーズに取得するためのポイント

外国人労働者を雇用する際、スムーズな就労ビザの申請は企業にとって非常に重要な業務の一つです。
ビザ申請がうまくいかないと、予定していた採用スケジュールに影響を及ぼし、最悪の場合は雇用契約が実現しないこともあります。
この記事では、会社の人事担当者向けに、外国人社員の就労ビザをスムーズに申請・取得するための10のヒントを解説します。

目次

就労ビザをスムーズに取得するためのポイント

就労ビザをスムーズに申請するために必要なことをみていきましょう。

対象者の仕事内容に適したビザの種類を確認する

日本の就労ビザ(在留資格)は複数の種類があり、それぞれ認められる活動内容(業務内容)が違います。
外国人社員がどの在留資格に該当するのか、事前に正確に確認することが必要です。
申請する就労ビザ(在留資格)を誤ると、申請が不許可になる可能性がありますので、業務内容とビザで認められている活動内容(業務内容)があっていることが重要です。

主な就労ビザの種類

  • 技術・人文知識・国際業務:ITエンジニア、翻訳、通訳など
  • 技能: 調理師、大工、パイロットなど
  • 高度専門職: 高度な専門性を持つ研究者、経営者など

在留資格認定証明書交付申請を迅速に行う

外国人労働者が海外から来日する場合は、最初に「在留資格認定証明書」の取得が必要です。
在留資格認定証明書交付申請は企業側が管轄の出入国在留管理局に行うことが一般的です。
必要書類も多くありますので、採用が決定したら即準備に取りとりかかりましょう。
また、在留資格認定証明書の審査期間は通常1~3カ月かかります。
採用スケジュールを立てる際には、この期間を考慮してください。

必要書類を正確に準備する

必要書類の不備や不足は、審査が遅れる原因となります。
申請の前に必要書類が揃っているか必ず事前に確認しましょう。

よくありがちなのが、以下です。
・企業の履歴事項全部証明書が最新のものではない
・雇用契約書に業務内容が明確に記載されていないと思われる
・外国人労働者の学歴や職歴の証明が不十分と思われる

主な提出書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 顔写真
  • 返信用封筒
  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
  • 雇用契約書
  • 履歴書
  • 学歴又は職歴を証明できるもの(卒業証書の写しなど)
  • 企業の登記事項証明書
  • 企業のの沿革、役員、組織、事業内容が分かるもの(パンフレットなど)
  • 企業の直近の年度の決算文書の写し

※一般的な主な提出書類を記載しています。申請の際は必ず出入国在留管理庁のホームページから確認してください。

業務内容を明確に記載する

就労ビザ(在留資格)では、具体的な業務内容が審査のポイントになります。
申請書や雇用契約書には、専門的なスキルを活かす業務であることを明確に記載しましょう。
また、「雇用理由書」を作成し、より詳細に記載することもおすすめです。

不十分な記載例: 一般事務
良い記載例:国際取引に関する資料の英訳・和訳

雇用条件が適法であることを確認する

就労ビザ申請では、雇用条件が日本の労働基準法をはじめ労働法規に適しているかが審査されます。
給与や労働時間、福利厚生などの条件が適正であることを確認しましょう。
【主に確認される点】
・最低賃金を下回っていないか
・社会保険に加入しているか
・労働時間が1日8時間・週40時間以内であるか
また、「月45時間分以上のみなし残業代の支給がある」など、過剰な残業が想定されていると思われる条件も控えた方が良いでしょう。

外国人労働者の資格やスキルを確認する

就労ビザ(在留資格)の種類によっては、外国人労働者の学歴や職歴、資格が要件として求められます。
例えば、大学卒業の学位が必要なケースや、特定の技能資格が必要な場合がありますので確認しましょう。
中には偽造された卒業証書などを提示してくる方もいます。
具体的にどんなことを学んだのか、大学で大変だったことなどのエピソードも話してもらうと安心です。
しかし、尋問されていると思われたり、威圧感を与えてしまわないように雑談として聞いていくのが良いでしょう。

最新の法律や規則を把握する

日本の入管法は時々改正されるため、最新の法律や規則を把握することが重要です。
公式の入国管理局のサイトや、専門家の情報を定期的に確認しましょう。

行政書士などの専門家に相談する

行政書士や弁護士に手続きを依頼することで、ミスを防ぎ、手続きを迅速に進めることができます。
特に複雑なケース(転職、不許可になりそうな案件など)では、専門家のサポートが非常に役立ちます。

就労ビザが不許可になったときの対応

就労ビザ(在留資格)を申請したとしても、不許可になる可能性もあります。
不許可になったときの対応策も頭に入れておくといざという時に慌てずに対応できます。

不許可の理由を確認する

出入国在留管理局に行けば、在留資格認定証明書の不交付理由や在留資格変更許可申請の不許可理由を教えてもらえます。
まずは不許可になった理由を確認して、その理由がすぐに解消できるものなのか、そうでないかの判断をします。

再申請をする

在留資格認定証明書の不交付理由や在留資格変更許可申請の不許可理由が書類不備などすぐに解決できるものであれば、書類を揃えた上で再申請を行います。
また、現状では希望する就労ビザ(在留資格)要件を満たせない場合は、他の就労ビザ(在留資格)の申請を検討することも選択肢の一つになります。

行政書士などの専門家に相談する

複雑な理由で不交付や不許可になった場合、行政書士などの専門家に相談するのも有効です。
行政書士は、不許可理由にあわせ具体的な改善策を提案します。

行政書士に依頼するメリット

  • 書類作成や申請手続きを代行してくれる
  • 入国管理局とのやり取りをサポートしてくれる
  • 再申請における許可率を高めることができる

採用スケジュールを見直す

在留資格認定証明書の不交付や在留資格変更許可申請が不許可となった場合、外国人労働者の雇用開始時期が遅れる可能性があります。
採用スケジュールを見直し、再申請までの時間を考慮した計画を立て直しましょう。

外国人労働者へのフォローを行う

外国人労働者が海外にいる場合は、在留資格認定証明書交付申請を行いますが、不交付になった場合は申請者(企業が申請していたら企業)に連絡がきます。
外国人労働者に対して、不交付の状況を正直に説明し、対応策を伝えましょう。
再申請の計画があることを伝えることで、相手の不安を和らげることができます。

外国人雇用や就労ビザに関する相談を受け付けています!

外国人労働者の就労ビザ申請は、人事担当者にとって重要な業務であり、正確かつスムーズに行うことが求められます。本記事で紹介したポイントを活用いただけると嬉しいです。

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この記事を書いた人

板羽愛由実のアバター 板羽愛由実 行政書士・社労士・産業カウンセラー

・東京都杉並区生まれ神奈川県川崎市育ち
・行政書士 兼 社労士 兼 産業カウンセラー

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