
外国人インターンを呼び寄せる際のビザ(在留資格)は?

海外の大学生をインターン生として呼び寄せたいと思ったときに「どのビザを取得すれば良いのだろう」という疑問が浮かぶかもしれません。
今回は、外国人インターン生のビザの種類や取得の要件、外国人インターン生の受入れの際の注意点についてみていきましょう。
(※)「ビザ」とは本来は「査証(入国許可証)」のことを指しますが、本記事では一般的に使用されている「在留資格」の意味で使用しています。
インターンに必要なビザは3種類ある
海外の大学生をインターン生として呼び寄せる場合は、次の3種類のビザのうちどれかを取得します。
どのビザを取得するかは「報酬(給与)の支給有無」「インターシップ期間」により異なります。
報酬(給与)が出る場合は特定活動ビザ(インターンシップ)
滞在期間が何日であっても、報酬が出る場合は特定活動ビザ(インターンシップ)を取得します。
滞在期間が90日超、報酬(給与)が出ない場合は文化活動ビザ
滞在期間が90日を超え、報酬(給与)が出ない場合は、文化活動ビザを取得します。
報酬(給与)が出ない以上は企業説明やグループワークなど労働性のない内容でないといけません。
職業体験であっても、実際に従業員が行うことをそのまま行わせることは控えましょう。
例えば、経理部の職業体験でダミーのデータを渡してパソコンに入力してもらうことは労働者性があるとは言い難いですが、実際に使用するデータを渡して入力してもらうと、本来は従業員が行うべき業務をインターン生に行わせているので、労働者性があると解されてしまう可能性があります。
また、アパレル会社で実際に店頭に立って一人で声かけや接客販売を行わせるなど、企業に直接利益を生み出す行為をインターン生に行わせることも労働者性があると解される可能性がありますので注意が必要です。
滞在期間が90日以内、報酬(給与)が出ない場合は短期滞在ビザ
滞在期間が90日以内で、報酬がでない場合は、短期滞在ビザを取得します。
報酬が出ない以上、労働者性のないインターンシップ内容にする必要があります。
特定活動(インターンシップ)ビザ取得の要件
報酬が出る場合に必要な特定活動(インターシップ)ビザの取得要件をみていきましょう。
海外の大学生であること
学位が授与される教育課程である必要がありますが、通信教育は対象外です。
また、入国時に18歳以上である必要があります。
外国の大学と日本の受入れ企業との契約により報酬が支払われること
海外の大学と日本の企業が協定書を締結し、協定書を締結している日本企業の業務に従事しなければなりません。
そのため、派遣社員として派遣先企業の業務に従事することは認められていません。
インターシップで就業したことにより大学から単位が与えられること
インターシップでの就業内容が大学の学習と位置付けられるので、大学で専攻している科目に関連する業務内容であることが求められます。
さらに、一定の知識や技術を身に着けることや就業経験そのものが学問履修として単位認定されますので、単純労働はなじまないとされています。
1年を超えない期間で、かつ、通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間であること
4年制大学であれば最大2年が対象になります。
しかし、在留期間は最長1年で更新ができないため、2年間インターンシップで働きたい場合は、1度帰国してから再度特定活動ビザ(在留資格)の申請を行います。
特定活動(インターンシップ)ビザ申請に必要な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 顔写真
- 返信用封筒
(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) - 申請人の在学証明書
- 申請人が在籍する外国の大学と日本の受入れ機関との間で交わしたインターンシップに係る契約書の写し
- 申請人が在籍する外国の大学からのインターンシップ実施に係る承認書、推薦状
- 単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料(インターンシップ実施計画)
- 申請人の日本での活動内容、期間、報酬等の待遇を記載した資料
- 申請人のインターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料
(過去にインターンシップで日本に在留したことがない場合は、その旨を文書にして提出する) - 申請人の在籍する大学の修業年限を明らかにする資料
- その他、ガイドラインに規定する項目に係る説明書
特定活動ビザ(インターンシップ)でインターンを受け入れる際の注意点
特定活動ビザ(インターシップ)で外国人インターン生を受け入れる際にはいくつかの注意点があります。
労働基準法をはじめ日本の労働ルールが適用される
特定活動ビザ(在留資格)を取得すれば、報酬を得ながらインターンシップ生として働くことができますが、報酬が出る以上は労働者です。
労働基準法をはじめ、労働法規が適用されます。
有給休暇の付与や残業が発生した際の残業割増手当の支払いが必要になります。
また、当然に会社の就業規則も適用されます。会社独自の制度(特別休暇など)がある場合は原則として外国人労働者も対象になります。
社会保険への加入義務がある
要件を満たせば社会保険への加入義務もあります。
ただし、学生であるため、雇用保険は対象外です。
週28時間を超える場合は資格外活動許可が必要
インターンとして働くのは原則として週28時間以内まで認められます。
この週28時間はどの曜日から起算しても28時間におさまっている必要があります。
週28時間を超えて働く場合は資格外活動の個別許可が必要です。
週28時間を超えて働いてしまうと不法就労罪に問われてしまう可能性があるので注意が必要です。


技能実習生との違いを明確にすること
技能実習生を受け入れている企業は以下の点についてインターシップ実施計画書において技能実習生とインターン生の違いを明確にする必要があります。
- 目標について
- 指導体制について
- 評価について
技能実習ビザ(在留資格)は、外国人が実務を通して技能を身に着けて自国に持ち帰り、学んだことを海外で活かしてもらうための制度です。
インターシップビザ(在留資格)は大学の教育課程の一部として専攻科目に関連する能力を身に着けるためのもので目的が違うので、受け入れにあたっても区別することが求められています。
また、夜勤やシフト制で働く場合はその必要性と指導体制について明確にする必要もあります。
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